SSブログ

梅は咲いたか、桜はまだかいな/平成三十一年四月五日 [由無し事]

ついに決まりましたねえ新元号。「令和」。
まさか本当に日本の古典が典拠になるとは思いませんでしたよ、私。
丁度うちに万葉集の本があるので、確めてみましたよ。

ありました。巻の五、八一五番から八四六番迄の歌の序文ですね。
310401reiwa.jpg
時は天平二年一月十三日、西暦なら730年2月4日、まだ肌寒い初春の頃。
太宰府に九州各地のお偉いさん方が集まって開いた宴で、
梅の花をお題に詠まれた歌三十二首に添えられた序文。
しんとした冷たい空気の奥から命の兆しが匂い立つような、とても美しい序文ですね。
もう少ししたら、落語の「愛宕山」の道中みたいに、
賑やかで陽気な春真っ盛りになるんだろうなと思ったら、
ちょっとホロリとしてしまいました。

実は漢籍の『文選』が下敷きになってるらしいと聞いて、
当時の上流階級の教養書ですもんね、なるほどと納得しました。
乱暴な例えだけど、明治時代の鹿鳴館みたいに、
何でも中国文化を理想としていた時代だから、
中国原産の梅の花を讃えるのは、とても高貴で最先端な行事だったわけですね。

でも決して桜の花をないがしろにしてたわけではなかったみたいですね。
三十二首の歌の中に一首だけ、桜の花も一緒に詠み込んだ歌がありますよ。

梅の花咲きて散りなば 桜花継ぎて咲くべく なりにてあらずや

梅の花が咲いて散ったら、次は桜が花咲こうってなってますやないか!!
…って。ちゃんと桜の花も楽しみにされてたんですねえ。
梅の花見が公的行事なら、桜の花見は民間行事でしょうか。
梅が社交ダンスなら、桜は盆踊りかな?!(笑)

しかもこの歌の詠み人は渡来系みたいですね。
一世か二世か更に後世かは知らないけど、
日本のいいもの褒められたら、素直に嬉しいじゃないですか。
梅もええなぁ~桜もええなぁ~って。
これぞ、令なる和 って事なのかもしれませんわね~。
コメント(0) 
共通テーマ:アート

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
(C) はなだの Hanadano 2010〜

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。