もう八年、まだ八年。

昔実家に、戦死した祖父が遺したスクラップブックがあって、
昭和六年の分だけだったんですけど、
当時の新聞や雑誌の記事の内容が面白くて、
時々眺めては楽しんでおりました。
その昭和六年当時、祖父は東京で学生生活を送っておりました。

その頃って世界恐慌真っ只中だったり、満州事変が勃発したりで、
結構大変な時代だったんじゃないかと思うんですけどね。
それをうかがわせるような切り抜きは全然見当たりませんでした。

楽しくて仕方なかったんでしょうねえ、肥溜めくさい田舎から出て来て、
ネオン華やかな最先端の帝都の雰囲気に呑まれて。
映画や舞台や芸術関係の記事ばっかりでしたわ。

その記事の中に、「復興成った帝都…云々」という記述があって、
一瞬、ん?どういう事?と混乱したんですが、すぐ気づきました。
関東大震災の事だったんですねぇ…。
昭和六年は関東大震災から八年後。
そして今年平成三十一年も、東日本大震災から八年後です。

一部画像を撮ってあるので、何枚かご覧下さい。

東京に大雪が降って、その辺の坂道が臨時スキー場と化したそうです。

数年前に平成の東京に大雪が降った時も、
スキーヤーやスノーボーダーが出現しましたよね。(笑)

サンダーバードに出て来そうな可愛らしいラッセル車とか、
雪かき作業員が山高帽に蓑姿なのが面白いです。

これってリアタイってやつですか〜?!






小説の内容はさっぱり解りませんが宇野千代さんが凄いというのは解ります。


左下の小津安二郎の初期作品、「エロ度100パーセントの髭面」って、
まるで卑猥なエロ映画のような煽り方されてるんですが、
調べてみたら全然そんな事ないみたいです。(笑)


こうして古い記事を見てるととても懐かしい感じがするけど、
震災の焼け野原から八年後といったら、
実際はまだ新しい建物が建ち並んだピカピカの街並みだったんでしょうね。
そしてこの十四年後には空襲でまた一面焼け野原になるのかと思うと、
その後七十四年間も東京が壊滅的な災害に遭っていないのって、
実は奇跡的な事なんじゃないかという気がしてきます。

さて、祖父が通っていた学校はその後移転や改称を繰り返したので、
当時の所在地についてはよく知らなかったんですが、
数年前に偶然、そこが品川区にあったと知りました。
現在は中学校の敷地になっていると知り、痕跡もないだろうけど、
一度現地をこの目で確かめてみたいなと思い訪ねてみました。

…なんと校庭に記念碑が残っていたんですよ!!

感激して、思わずフェンス越しに記念撮影しました。
外からすぐ判る所に建ってて、すぐに見つけられたので、
偶然とはいえ、祖父が呼んでくれたような気がして感動しましたよ。